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世代を超えた地域コミュニティの場~『LIB COFFEE-IMARI』

2017年02月07日

伊万里川のほとりにあるカフェ

 江戸時代、有田や波佐見などで焼かれた磁器は、伊万里の津(港)から国内外へ船で運ばれていました。そのため当時、肥前磁器は「伊万里」と呼ばれていました。今回紹介する『LIB COFFEE―IMARI』は、この伊万里港に通じる伊万里川のほとりにあるカフェです。

 「陽が沈む時間帯になると、川面の色が変化していくんです。潮の満ち引きもあって、さながらベネチアのよう。ロケーションは最高だと思います」とオーナーの森永一紀さん。2016年6月にオープンした店は、食堂、魚屋、米屋などが歴史を重ねてきた築120年の建物を改装したもので、天井にかかる太い梁は、当時のものだといいます。奥のスペースにある小あがりは当初、焼き物などを展示する場所として考えていたそうですが、今ではママたちが子どもを解放できる貴重なスペースに。カウンター席には電源コードも備え付けられており、天気がよければ軒先のベンチで過ごすこともできます。どの席も余裕を持って配置され、自分好みの場所を選べます。

 長崎・出島から取り寄せた豆をドリップした本格コーヒーのほか、体にやさしいスムージーも人気急上昇中。ケーキ、アイスクリーム、焼き菓子などデザート類も豊富です。朝7時からはモーニングセットや、野菜や肉などの具材を店の隣で開かれる朝市で仕入れた「朝市パニーニ」が楽しめ、今や多くの常連客が訪れます。カップは鍋島焼、皿は有田焼を使っています。

人とのツナガリがきっかけ

 森永さんは長崎県松浦市の出身。伊万里で働いているときに通っていたバーのオーナーと懇意になり、それが縁でバーの店長として接客の仕事を始めます。
 そんな時に出会ったのが、伊万里出身の吉武広樹さん。「ミシュランガイド」で一つ星を獲得したフレンチレストランのオーナーシェフです。その吉武さんが2014年に国内最大級の料理人コンペティション『RED-U35』でグランプリを獲得し、「伊万里から日本一の料理人が誕生した」と沸く仲間たち。そんな活躍する吉武シェフから刺激をもらい「伊万里の仲間と共に自分たちもなにかできるはず! 熱いことができるはず! やるしかない!」との思いで『GOLD U-35』という団体を結成し、地域のイベントにも積極的に参加して楽しいパフォーマンスを披露、その様子をSNSなどで発信しました。当初7~8人だったメンバーも25人まで膨れ上がり、活動に充実感を感じ始めていたころ、地元松浦のカフェでお年寄りと学生たちが楽しそうに話をしている光景を見て、心を動かされます。

 「バーや『GOLD U-35』を通じて同世代である横のつながりは広がった。次は縦のつながりを作りたい」
 自分の店を持ち、世代を超えて地域の人たちが触れ合える場所作りが、こうして始まりました。

楽しい企画や情報を発信する拠点に

 地方都市で新しい刺激を生みだし、伝え、広めていく取り組みを目指す森永さん。子供からお年寄りまで幅広い年代の人たちが集い、交わることで、充実した人生を送ってほしい。「Life is Beautiful」の頭文字をとった店名には、その思いが込められています。余分なものは置いていない店内は視線を遮るものがなく、どの席に座っても目を少し上げれば外の様子が大きなガラス越しに飛び込んできますが、それは同時に、客同士がコミュニケーションをとりやすいようにしているようにも見えます。

 「このカフェは、今後いろんなことをやっていくうえでの拠点であり、ブランドだと考えているんです。『LIBツアー』と銘打った観光ツアーの企画、『LIBペーパー』と名付けた情報紙の発行…いろいろできそうだと構想を温めているんです」。
 その昔、肥前磁器を積んだ船が長崎・出島を経由して海外に運ばれたように、この伊万里から国内外に向けて情報を発信していきたい。森永さんはそう言って、嬉しそうに微笑みました。
 
 『Saga Dish&Craft』 開催中は、デザイナー・内田喜基さんの「Kanamono Artワークショップ」、写真家・KAZUさんのドローン体験、巻き寿司アーティスト・たまちゃんの「巻き寿司ワークショップ」が行われます。