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サービスマンがオーナーを務めるイタリアン          ~『trattoriYa Mimasaka』

2017年02月08日

緑に囲まれた伝統的なイタリア料理店

 JR武雄温泉駅と有田駅のちょうど中間地点にある三間坂駅から徒歩で10分ほど。のどかな風景に溶け込むように『trattoriYa Mimasaka(トラットリヤ ミマサカ)』はあります。イタリア語で食堂を意味する「トラットリア」と、オーナーである鳥谷憲樹さんの苗字「トリヤ」をあわせて店名にしたイタリア料理店です。

 吹き抜け構造の店内では、茶系統でまとめられたテーブルが、白を基調とした壁と床の中で浮かび上がり、よく磨かれたグラスや食器類がダウンライトやスポットライトの光を受けて輝きます。テーブル席の一部は仕切りによって個室にもなり、奥にはちょっとしたカウンター席も。大きなガラス扉の向こうにはテラスが設けられ、その奥に見える裏山ではデザートなどで使う食材を栽培しています。
 イタリアで修行し、各地の料理を食べ歩いた夫妻がシェフを務め、現地の人が日常的に食べている本物のイタリア料理を振る舞います。オススメは生パスタ。もちもちとした柔らかな食感が、高い評価を受けています。

「100点の料理を、101点以上で出す」

 鳥谷さんの店での役割は、サービスマン&ソムリエ。オーナーが前線で店内を切り盛りしているのも、この店の特徴です。
 本来ならシェフがテーブルまで料理を運び、食材や調理法などを説明するのが理想のサービスでしょう。ただ、現実にはなかなかそこまで手が回りません。そこで登場するのがサービスマンです。
 「100点の料理を最低でも101点以上にして提供する。料理が80点の評価なら、サービスの力で100点にまで持っていく。それが私の役割です」

 料理もさることながら、ちょっとした気遣いが店の評価を左右すると鳥谷さんは考えます。
 「水が欲しいとき、少し寒いと感じるときなど、お客さまはサービスマンを探そうとします。その一瞬を逃さず、素早くスマートに対応する。お客さまとの間に『空白の時間』を作らないようにしています」

 大学生の時、レストランでの接客アルバイトをきっかけに飲食の道を志した鳥谷さんは、調理学校に進みます。しかしそこで、興味があるのは料理ではなく、サービスの方だと気がつきます。その後、サービスマンとして東京やイタリアで経験を積みましたが、出店の場所に選んだのは、祖父母から土地を受け継いだ武雄・三間坂でした。
 「イタリア料理や文化がまだ浸透していない場所の方が、ニーズが高いと思いました。競合店も少なくオンリーワンになれる地方は、フロンティアだと思っています」

「地方にも、カッコいい大人はいる」

 武雄に戻ってから、様々な事業やイベントを通して多くの人たちとつながり、店で使う器は武雄、伊万里、有田、波佐見などの仲間から買い求めました。その器に、提携農家から仕入れた食材で作った料理を盛り付けると「愛着も沸き、思いも込めやすい」と言います。
 開店直後から予約が取りにくい状況が続き、順調な船出のようですが「食事以外で、どう店を使ってもらえるか」と、すでに先を見据えています。ロフト構造になっている2階は食事スペースとしてではなく、イベントの場としての活用を考えています。

 「地方はこれまで低く評価されがちでした。子供のころ『地方にはカッコいい大人はいない』と、私も思っていました。でも、そうじゃないんだよ、と。私と同世代のプロフェッショナルたちの手によってこの店を始めることができたように、地方にもすごい大人たちはたくさんいる。そのことを、伝えていける場所にできればと思います」

 敷居の高い高級店にはしたくない。かといって、隠れ家的な店にとどまるつもりもありません。ここからイタリア料理や文化をベースに多くの人をつなげ、地域の魅力を広く伝えていきたいと鳥谷さんは考えています。

 『Saga Dish&Craft』 開催中は、trattoriYa Mimasakaの庭で、映像制作会社・ランハンシャによる、プロジェクションマッピングが行われます。

プロジェクションマッピングの詳細については、イベントページ・「武雄」をご覧ください。