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磁器・お茶・温泉…嬉野の魅力を凝縮したショップ&カフェ~ 『224 shop+saryo』

2017年01月31日

肥前吉田焼×プロダクトデザイン

 佐賀・嬉野地区で生産される磁器は、肥前吉田焼と呼ばれています。有田焼の「絵付」のような独自の様式や、献上品として作られた鍋島焼のような華やかさはないものの、日常使いの食器として歴史を重ねてきました。その伝統技術に吉田焼窯元・辻諭さんが、機能性とデザイン性を取り込んで立ち上げたブランドが『224 porcelain(ニーニーヨン ポーセリン)』です。
 もともとプロダクトデザインへの関心が高かったという辻さん。「多くの人に吉田焼のことを知ってもらい、使ってほしい」という思いが、新たなプロダクトを産み出しました。雑誌などでも紹介され徐々に知られるようになり、2015年2月にショップ兼カフェの『224 shop+saryo』をオープンしました。
 嬉野温泉本通り商店街にある店は、足湯・足蒸し湯を楽しめる「湯宿広場」や公衆浴場「シーボルトの湯」のすぐ近く。観光客も訪れやすい場所にあります。白を基調としたガラス張りの建物で、オープンスペースに架かっているハンモックが目印です。

嬉野茶専門のお茶カフェ

 半地下の1階にある「saryo」は、『224 porcelain』の器で嬉野茶を楽しめるお茶カフェです。ベースとなるのは、ほうじ茶・紅茶・煎茶・ウーロン茶・玉露・釜炒り茶で、それぞれに複数の茶葉を取り揃えています。これらに好みのハーブをブレンドして、オリジナルティーにすることもできます。抹茶やほうじ茶などを使ったフラッペやラテフロート、好きな香りの茶葉と日替わりのお菓子がセットになった「お茶セット」など、デザートも充実。お昼時は、ミートローフやカレーなど週替わりのランチセットもいただけます。

 パブをリニューアルした店は、壁・天井・床が白で統一され、木目鮮やかなテーブルをダウンライトがやさしく照らします。コンクリートブロックがカウンターの土台として使われ、木のテーブルや棚はペンキで手塗りされるなど、所々に残る無骨さが程よいアクセントになっています。
 平日は英語教室、ミシン教室などに使われており、カフェとして日中営業するのは土曜、日曜、祝日のみ。金曜日、土曜日の夜はバーにもなり、結婚式の2次会やDJイベントなどで利用されています。

見ているだけで楽しめる器

 2階は、『224 porcelain』の器を中心に、若手クリエイターの雑貨やお菓子を販売するセレクトショップ。カフェ同様、白系統でまとめられた室内に、色とりどりの器がテーブルや飾り棚に並んでいます。
 紙を使わないセラミックコーヒーフィルター「caffe hat」、フォーク・スプーン・お箸を美しく置くことができるカラトリーレスト、醤油を注ぐとその部分がおにぎりの海苔のように見える器…。どの商品にも、コンセプトとストーリーが内包され、見ているだけで楽しめます。ビートたけしさん、佐藤可士和さんがデザインした器も置かれていますが、こちらは残念ながら非売品とのこと。
 この店を目当てにやってくる人も30~40代の女性を中心に増えており、ネットからの注文もあって、生産・出荷作業に追われる辻さん。昨年は肥前吉田焼窯元協同組合による商品開発コンテストにも積極的に携わり、さらなる吉田焼の可能性を追求しています。

 「この店では吉田焼と嬉野茶を楽しめ、近くには温泉や足湯もあります。磁器・お茶・温泉という嬉野が誇る地域資源の魅力を、まとめて体験してもらう場所にしたつもりです」

 お茶と温泉で知られる小さな磁器産地でも、新たな可能性を探る試みがスタートしています。