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歴史と文化を町全体で伝える磁器発祥の地~有田

2017年03月10日

漆喰塗りの町家、トンバイ塀…当時の面影を残す内山地区

 磁器発祥の地として知られる有田を歩くと、町全体がその歴史と文化で包まれている、そんな印象を受けます。
 町のメーンストリートともいえる県道281号線沿いには、国の「重要伝統的建造物群保存地区」にも指定されている内山地区の町並みが広がります。漆喰塗りの町家や洋館、窯元のショールームなどが立ち並び、『Saga Dish & Craft』のイベントが開かれる「ARITA PORCELAIN LAB」旗艦店も、この通り沿いにあります。
 通りから脇道に入ると「トンバイ塀のある裏通り」があります。登り窯を築くために使う耐火レンガ(トンバイ)の廃材や使い捨ての窯道具、陶片を赤土で塗り固めて仕事場を囲い、技術の流出を防ごうとした塀で、当時の面影を今に伝えます。
 日本で初めて磁器を焼いた陶工で〝有田焼の陶祖〟と呼ばれる李参平を祀る「陶山神社」も徒歩圏内。白磁で作られた大鳥居をはじめ、境内にある狛犬、大水瓶、欄干なども磁器でできており、李参平の碑がある高台からは有田の町が一望できます。
 通りから少し足を伸ばせば、李参平が磁器の原料となる陶石を発見した「泉山磁石場」があります。現在採掘はほとんど行われておらず、白磁ケ丘公園として整備されていますが、400年間の採掘によって露出した山肌を見ることができます。

 町内には陶磁器に関する施設も数多くありますが、中でも「九州陶磁文化館」は世界的にも注目される焼物専門の美術館。肥前の陶磁器をはじめ、九州各地の陶磁器や現代陶芸作家の作品を収集、展示しています。ドイツ・ドレスデンのツヴィンガー宮殿の王冠の門を再現した「有田ポーセリンパーク」は、食と器、お酒をテーマにした観光施設です。
 有田は山が近く、緑が美しい町でもあります。湖水が青磁に似ていることから〝秘色(ひそく)の湖〟と呼ばれ、湖面の美しさが魅力の「有田ダム」は、遊歩道が整備されており、四季折々の自然を満喫できます。

トンバイ塀のある裏通り

2月には「有田雛のやきものまつり」

 有田のイベントも陶磁器に関するものが多くなっています。ゴールデンウィーク期間中に開催される「有田陶器市」は、例年全国から100万人を超える陶磁器ファンが集う日本最大規模の陶器市。皿山通りを中心としたメーンストリートには4kmにわたって500軒以上の店が立ち並びます。陶磁器をお値打ち価格で購入できるほか、グルメフェアやテーブルコーディネート展など、様々なイベントが用意されています。
 2月上旬から3月下旬にかけては、ひなまつりに関連した食器の展示、販売が行われる「有田雛(ひいな)のやきものまつり」が開かれます。世界最大の磁器製「ひな人形七段飾り」をはじめ、有田焼で彩られたひなまつりが目を引きます。全国の陶芸家・陶芸愛好家が製作した焼物の雛人形を一堂に集めた「陶ひなコンテスト」など、多くのイベントも開かれます。

 食・グルメ関連では、デザートのようなまろやかな風味と、弾力性のある食感が特徴の「ごどうふ」が人気の一品。通常の豆腐のようににがりを使わず、豆乳にくずとでんぷんを入れて作られています。粒が大きく、皮のまま食べられる「完熟きんかん」は、甘くてジューシー。国見山系の天然水を使った「棚田米」も、美味と評判です。
 食事では、全国の名水百選にも選ばれた〝竜門峡の清水〟で育った鯉を使った「鯉料理」。特有の臭みもなく、身が引き締まりコリコリとした食感を楽しめます。有田町産の鶏肉を、焼・酢・煮・蒸・揚の5つの方法で調理した「有田焼五膳」も、新たなご当地グルメとして注目を集めます。

陶山神社境内から町並みを眺望