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歴史ある温泉地に残された名建築家の想い~武雄

2017年03月10日

武雄と東京をつなぐ干支のレリーフ

 1300年前に書かれた「肥前風土記」にも登場する武雄温泉は、透明で柔らかな湯ざわりが特徴の弱アルカリ性単純泉です。古くは神功皇后も入浴したと伝えられ、江戸時代は長崎街道の宿場町として栄えました。その源泉そばに立つ『武雄温泉新館』と『楼門』は、武雄が観光温泉町として発展を遂げた大正4年、その象徴として、唐津出身の建築家・辰野金吾の設計によって建設されました。

 朱塗りの武雄温泉楼門は、竜宮城を想起させる鮮やかな造りで、釘を一本も使っていない天平式楼門と呼ばれる独創的な建築物です。平成17年に国の重要文化財に指定され、25年には保存修理が行われましたが、その際、二階天井の四隅に「東西南北」を表す子、卯、午、酉の彫り絵が発見されました。同じく金吾が設計した東京駅の丸の内駅舎ドーム天井には8つの干支のレリーフがあり、楼門の4つと合わせると十二支が揃うため、金吾が何らかのメッセージを残したものとして話題になりました。
 武雄温泉新館は、平成15年の復元工事で大正初期当時の華麗な姿が蘇り、楼門とともに国の重要文化財に指定されています。当時の大衆浴場、大正天皇のために造られた浴室、当時貴重であったマジョリカタイル、陶板デザインタイルなども見学できます。

 御船山麓に広がる『御船山楽園』は、武雄領主・鍋島茂義の別邸跡です。敷地内に植えられた2,000本の桜は春になると一斉に咲き誇り、御船山の断崖を鮮やかなピンク色に彩ります。さらに4月中旬から5月上旬にかけては20万本のツツジやフジ、シャクナゲが、紅・朱・白・桃の華やかな世界を創り出します。特にツツジの開花時期になると、約15万坪の園内は、一面にツツジの絨毯(じゅうたん)を敷いたような光景が広がります。

 平成25年、「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブが、初めて図書館の運営に入った武雄市図書館。音楽・DVD などのレンタルショップやコーヒー店なども併設され、本や雑貨も購入できる新しいスタイルの図書館として注目を集め、今も全国から多くの人が訪れます。
 九州最大規模の自然科学系博物館である『佐賀県立宇宙科学館』は、宇宙発見ゾーン・地球発見ゾーン・佐賀発見ゾーン・科学のおもちゃ箱・こどもの広場の5つの展示ゾーンのほか、最新式の投影機器を備えたプラネタリウムや天文台があり、家族連れにオススメです。

御船山楽園に咲き誇るツツジ(写真提供:佐賀県観光連盟)

夏は「あかり展」、秋は紅葉鑑賞と窯開き

<イベント>

◆武雄のあかり展
 武雄市では平成27年夏、武雄温泉楼門創建100周年を記念し、市内各地を様々なあかりで彩るイベントを開催し、翌年以降も定番化しています。御船山楽園では竹灯籠のほのかな灯りが庭園の闇を揺らし、池では水面を彩るプロジェクションが投影されます。ほかにも、武雄市図書館、武雄神社と境内の御神木「武雄の大楠」、武雄温泉楼門・新館など、代表的な観光地がライトアップされています。

◆秋の窯開き
 11月になると市内の各窯元で窯開きが行われ、陶磁器が安く購入できる展示会や絵付け体験などのイベントが開かれます。紅葉の季節にも重なるため、毎年多くの観光客が散策を兼ねて窯元巡りに訪れます。

<食>
 明治から昭和にかけて武雄市北方町は、炭鉱の町として栄えました。その炭鉱で働く労働者たちに愛されたのが、ボリューム満点、野菜たっぷりのちゃんぽんでした。閉山後もその味は受け継がれ、ちゃんぽん店が集まる国道34号沿いは『武雄・北方ちゃんぽん街道』と呼ばれています。
 また、佐賀県は大豆の一大産地でもあり、収穫量は北海道に次いで全国2位。良質のたんぱく質を含む佐賀県産の「フクユタカ」を使った加工商品も多く、ざる豆腐、豆乳スープ、パスタ、コーヒー、菓子など、多くの料理やスイーツに使われています。

<写真提供:佐賀県観光連盟>