SPOT:

〝美肌の湯〟に立ち上る宿場町の面影~嬉野

2017年03月13日

 ナトリウムを多く含む重曹泉で〝美肌の湯〟として知られる嬉野温泉。「嬉野温泉本通り商店街」の一帯はかつて長崎街道の宿場町として栄え、いまも多くの温泉旅館が立ち並びます。
 その通り沿いに整備された「湯遊広場」内には、無料で利用できる「シーボルトの足湯」があります。西洋医学の発展に貢献したシーボルトが江戸時代、オランダ商館長の随行医師として嬉野に立ち寄り、温泉の成分分析をしたことにちなんで名づけられました。そのすぐ近くにある公衆浴場「シーボルトの湯」は、大浴場や貸切湯、市民ギャラリーなどが整備され、午後9時30分まで利用できます。さらに100mほど西へ進むと、足湯と足蒸しの施設を備えた「湯宿広場」があるなど、一帯は観光客や地元の人たちの憩いの場として親しまれています。
 海神(ワタツミ)の娘で、竜宮城の乙姫のモデルとされる豊玉姫を祀る豊玉姫神社もすぐそば。豊玉姫は肌が白く、美しかったことから、境内に祀られている豊玉姫の遣いとされる「白なまず」ともども、お参りすると美肌にご利益があるとされています。

 温泉街に沿って走る国道34号を南下すると、見えてくるのが「轟の滝公園」。ここには高さ約11mの三段からなる轟の滝があり、周辺は散策路が整備されています。春は桜、夏は天然の涼を求めて多くの人が訪れます。轟の滝公園からさらに南下すると、通り沿い左手に大きな茶つぼの形をした休憩所「茶楽里(さらり)」があり、中には嬉野のお茶や焼き物、温泉の歴史などを紹介したパネルが展示されています。吉田地区の農産物販売所「吉田まんぞく館」の向かい側にある休憩所「器楽里(きらり)」は巨大な土瓶型をしており、土台の部分に子どもたちが絵付けした可愛いお皿が貼られています。いずれも記念撮影のスポットにもなっています。

 一方、嬉野温泉の北東部に位置する嬉野市塩田町も、江戸時代は長崎街道の宿場町として栄えました。有明海へと注ぐ塩田川は干満差を利用して船が往来し、物流の拠点・塩田津として発展しました。今も白壁の町家が立ち並ぶ一帯は「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、廻船問屋だった「西岡家住宅」は国重要文化財に指定されています。
 1700年頃からは志田地域でも陶磁器の生産が始まり、「志田焼」として塩田津から各地に運ばれていきました。現在は生産されていない志田焼ですが、往時を偲ぶ建造物として「志田焼の里博物館」「志田焼資料館」があります。

大正ロマンを感じさせるゴシック風建築の「シーボルトの湯」<写真提供:佐賀観光連盟>

お気に入りの器をカゴいっぱいに~「吉田皿屋トレジャーハンティング」

<イベント>
◆トレジャーハンティング
 嬉野市・吉田皿屋地区にある創業150年の老舗問屋「ヤマダイ」の木造倉庫には、今はもう作ることのできない年代物の器がうずたかく積まれています。埃がかかった器の山の中には、繊細な染付や赤絵が施されたものや、洗練されたデザインの逸品も。所狭しと並んだお宝の中からお気に入りの器を1カゴ5000円(小)もしくは1万円(大)で詰め放題となっています。

<食>
 胃腸に良いとされる弱アルカリ泉の温泉水を使って煮込まれた嬉野名物・湯どうふ。独特の温泉成分によって、とろけるような口当たりが特徴で、豆腐のうまみが引き出されています。煮汁も、まろやかな豆乳スープとして濃厚な味が楽しめます。また嬉野は、全国有数の生産量を誇る茶どころでもあります。緑茶はもちろん、その茶葉を使って加工した「和紅茶」は渋みが少なく、さっぱりした甘さで食事やスイーツにも相性抜群、若い女性に人気です。

老舗問屋「ヤマダイ」の木造倉庫に眠る器の数々